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ヨーロッパの回り方 — 制度が日程を決める大陸

ヨーロッパが他の大陸と決定的に違うのは、 滞在日数の上限が制度で決まっていることです。 物価の高さより先に、まずこのルールを理解しないと日程が組めません。

最終更新:2026年8月8日/制度は変わります。必ず公式情報でご確認ください

シェンゲン協定の90/180日ルール

ヨーロッパの多くの国は、国境で審査を受けずに行き来できる圏を作っています。 便利な反面、旅行者にとっては「圏全体で1つの国」として滞在日数が数えられるという制約が付きます。

180日の中で、合計90日まで

日本のパスポートで短期滞在する場合、 直近180日間のうち、シェンゲン圏内の滞在は合計90日までというのが基本の考え方です。 1国あたり90日ではありません。圏全体の合計です。 フランスに30日、スペインに30日、ドイツに30日いれば、その時点で上限に達します。

3か月の旅なら意識せずに済みますが、 6か月や1年の旅では、この90日が行程を直接縛ります。 「気に入ったから延ばす」ができない大陸だということです。

数え方でよくある誤解

誤解実際
「国を変えればリセットされる」 されません。圏内であれば合算されます
「一度出国すればリセットされる」 されません。過去180日をさかのぼって数えます
「入った日と出た日は数えない」 どちらも1日として数えるのが基本です
「ヨーロッパ=シェンゲン圏」 違います。圏外のヨーロッパの国もあります(次項)
「超えても数日なら大丈夫」 超過は記録に残ります。その後の入国に影響し得ます

なお、この制度の運用は変わります。 入国の事前手続きが追加される動きもあるため、 出発が近づいた時点で必ず最新の情報を確認してくださいビザの調べ方)。

圏外の国で日数を調整する

90日で足りない場合の現実的な解決策は、 シェンゲン圏に入らない国を行程に挟むことです。 圏外にいる期間は、90日のカウントを消費しません。

  • 圏外の国を「間に挟む」 — 圏内で40日 → 圏外で1か月 → 圏内で残り、という組み方ができます
  • ヨーロッパを2回に分ける — 前半で圏内に入り、他大陸を回ってから後半でまた戻る
  • 圏外の国に長く滞在する — 物価が圏内より安い国も多く、費用の面でも有利になることがあります
どの国が圏外かは変わります

加盟国は増減します。「あの国は圏外だったはず」という記憶で組むのは危険です。 行程を確定させる時点で、訪問予定の各国が圏内か圏外かを 一つずつ確認してください。 この確認を怠ると、90日の計算が根本から狂います。

移動手段:鉄道とLCC

ヨーロッパは移動が速く、選択肢が多い大陸です。 アジアやアフリカのように「1日かけて隣町へ」ということがありません。

手段強み注意
高速鉄道 都市の中心から中心へ運んでくれる。空港移動が不要 早期購入と当日券で価格が数倍違う
LCC 距離が離れた都市を安くつなげる 空港が市街から遠いことが多い。荷物代が別
長距離バス 最も安い。夜行を使えば宿代も浮く 時間はかかる

重要なのは、鉄道は早く買うほど安いという点です。 日程を固定しない旅とは相性が悪く、 柔軟性を取るか、価格を取るかの判断が要ります。 手段ごとの考え方は移動手段にまとめました。

物価と、削るべき場所

ヨーロッパは世界一周で最も単価の高い区間のひとつです。 ビッグマック価格で比べると、イギリスは約6ドル、フランスは約7.4ドルで、 日本の約2〜2.5倍にあたります(世界の物価)。

つまりここでの1週間は、東南アジアの2〜3週間分の費用になります。 総額が予算を超えたとき、削るべきはこの区間です。 旅の日数を削るより、ヨーロッパの滞在日数を削る方が効きます

  • ドミトリーを使う — 個室にこだわると持ちません(宿の取り方
  • 西欧より東欧・南欧 — 同じヨーロッパでも物価が大きく違います
  • 都市数を減らして滞在を長くする — 移動が減れば交通費も宿の単価も下がります
  • 自炊できる宿を選ぶ — 外食の単価が最も効いてくる大陸です

季節:夏を避ける

ヨーロッパの夏は、宿代と混雑が同時に跳ね上がります。 しかも90日の上限がある以上、 高い時期に貴重な日数を消費するのは二重に不利です。

  • 春または秋に通す — 価格・混雑・気候のすべてで有利
  • 冬は安いが、日照時間が短い — 北部では観光できる時間帯が限られます
  • ここを季節の固定点にする — ヨーロッパの時期を先に決め、そこから全体を逆算すると組みやすくなります(期間と出発時期
この大陸だけは「制度 → 季節 → 予算」の順で決まる

他の大陸は予算と季節で決められますが、 ヨーロッパはまず90日の枠が決まり、その中で季節を選び、最後に予算を当てはめるという順番になります。 希望の日数を先に決めても、制度がそれを許さないことがある—— 世界一周でここだけが持つ性質です。