世界一周のモデルコース — 3か月・6か月・1年
ルートの決め方で方法は分かっても、 実際にどう並べるのかは具体例がないと掴めません。 ここでは期間別に行程の骨格を示します。 重要なのは行き先そのものより、期間ごとに何をあきらめているかです。
最終更新:2026年8月8日/目安であり、確定した商品ではありません
前提を先に決める
以下のコースはすべて西回り(日本→アジア→中東・欧州→アフリカまたは南米→北米→日本)を前提にしています。 理由は単純で、日本から近い順に物価が上がっていくためです。 旅慣れないうちに安い地域を通り、後半で高い地域に入る方が、 予算の失敗を取り返しやすくなります。
行きたい国を並べてから線を引くと、必ず行ったり来たりになります。 世界一周運賃には一方向にしか進めないというルールがあるため、 その行程はそもそも組めません。 方向を決める → 期間を決める → 入る国を選ぶという順番なら破綻しません (ルートの決め方)。
3か月コース — 大陸を通過する
世界一周として成立する下限です。 1都市あたり2〜4泊で回り続けることになり、 滞在というより通過に近くなります。
| 月 | 地域 | この期間で入れるもの |
|---|---|---|
| 1か月目 | 東南アジア | タイ・マレーシア・シンガポール、またはベトナム方面。陸路でつなげるので移動費が安い |
| 2か月目 | 中東・ヨーロッパ | トルコから欧州へ。欧州は3〜4都市が限界 |
| 3か月目 | 北米、そして帰国 | 大西洋を渡り、1〜2都市に寄って日本へ |
あきらめるもの
- 南米とアフリカ — どちらも移動距離が長く、3か月では入れると全体が崩れます
- 寄り道 — 予定を変える余裕がありません。1か所で足止めされると後ろが全部ずれます
- 休養日 — 入れる余地がなく、体調を崩すと日程が破綻します
3か月は決して短い休みではありません。問題は日数ではなく、 移動日の比率です。 2〜4泊で移動を繰り返すと、1週間のうち2日は移動と荷造りに消えます。 もし「休みは3か月しか取れないが、ゆっくりしたい」のであれば、 世界一周にせず1〜2大陸に絞る方が満足度は高くなります。
6か月コース — 滞在が入る
3か月との最大の違いは、「気に入ったから延ばす」ができることです。 同じ大陸に1か月以上いられるようになり、旅の性格が変わります。
| 月 | 地域 | 内容 |
|---|---|---|
| 1〜2か月目 | 東南アジア・南アジア | 陸路中心。物価が安いので、ここで長くいるほど総額が下がる |
| 3か月目 | 中東・トルコ | アジアとヨーロッパの境目。移動の区切りになる |
| 4か月目 | ヨーロッパ | 季節をここに合わせる。夏の高値と混雑は避けたい |
| 5か月目 | アフリカまたは南米 | どちらか一方。両方は入りません |
| 6か月目 | 北米、帰国 | 大陸横断を入れる余地がある |
この期間で初めてできること
- 週単位・月単位の宿代交渉 — 長く泊まれば単価が下がります(宿の取り方)
- 休養日を組み込む — 1か月に2〜3日は動かない日を作れます
- 予定変更に耐えられる — 数日ずれても取り返せます
- 季節を選べる — 雨季や酷暑を避けて順番を入れ替えられます(期間と出発時期)
1年コース — 両半球の季節を使う
1年あると、南半球と北半球の季節を両方いいとこ取りできます。 日本の冬に南米やオセアニアの夏へ入る、という組み方が成立するのはこの長さからです。
| 時期 | 地域 | ねらい |
|---|---|---|
| 1〜3か月目 | 東南アジア・南アジア | 乾季に合わせる。物価が安く、旅に体を慣らす期間 |
| 4〜5か月目 | 中央アジア・中東 | 酷暑と厳冬を外す。春か秋に通す |
| 6〜7か月目 | ヨーロッパ | 夏のハイシーズンを外して春または秋に |
| 8〜9か月目 | アフリカ | 陸路の縦断か、拠点を絞るかを選ぶ |
| 10〜11か月目 | 南米 | 南半球の夏に合わせる。標高差が大きいので高山病に注意(健康管理) |
| 12か月目 | 北米、帰国 | 最後に高物価国。予算の残りで滞在日数を調整する |
固定費(航空券・装備・ビザ)はほぼ同じなので、 4倍になるのは滞在費だけです。 しかも1年コースは物価の安い地域に長くいられるため、 1日あたりの平均単価はむしろ下がります。 総額は増えますが、単純な4倍にはなりません (費用の考え方)。
3つを並べて比べる
| 3か月 | 6か月 | 1年 | |
|---|---|---|---|
| 入る大陸 | 3つ | 4つ | 5〜6つ |
| 1都市の滞在 | 2〜4泊 | 3〜7泊 | 気に入れば1か月 |
| 南米・アフリカ | 入らない | どちらか一方 | 両方 |
| 季節の選択 | ほぼ不可 | 一部可能 | 両半球を使い分け |
| 予定変更 | ほぼ不可 | 数日なら可 | 大きく変えられる |
| 休養日 | 入らない | 月2〜3日 | 自由に取れる |
| 仕事 | 長期休暇でも可能な場合がある | 休職か退職 | 退職が前提になりやすい |
| 1日あたり単価 | 高くなりやすい | 中 | 下がりやすい |
表を見ると分かるとおり、期間が延びて増えるのは行き先の数だけではありません。 変更に耐える力、休む余地、季節を選ぶ自由—— 旅そのものの安定性が上がっていきます。 3か月コースがきついのは距離ではなく、余白がないことです。
自分の条件に合わせて組み替える
大陸ごとの物価・移動手段・季節・ビザの壁は 大陸別の回り方で個別に解説しています。
上のコースは骨格にすぎません。次の3つの軸で、いくらでも変形できます。
1. 高物価国の滞在を削る
総額を下げたいときに最も効くのは、日数を削ることではなく ヨーロッパと北米の滞在日数を削ることです。 同じ1週間でも、東南アジアと西欧では滞在費が2倍以上変わります (世界の物価)。 削る場所を間違えると、旅は短くなるのに総額は下がりません。
2. 陸路に置き換えて区間を空ける
世界一周運賃には区間数の上限があります。 近距離の飛行機を陸路に置き換えると、その区間を大陸間移動に回せます。 ただし飛行機に乗らない陸路区間も1区間として数えられるため、 無制限に増やせるわけではありません (移動手段・世界一周航空券)。
3. 途中で日本に帰る前提にする
1年を通しで回るのが難しい場合、 2〜3か月ごとに帰国を挟む組み方があります。 航空券の総額は上がりますが、帰国中は宿代がかからず、 体力と手続きの両方をリセットできます。 考え方は期間と出発時期にまとめました。
どのコースでも共通する注意
- 最初の1週間は短く見積もらない — 時差、疲れ、勝手の分からなさで、想定の半分しか動けません
- 移動日は「観光できない日」として数える — 長距離バスや空港移動は、前後半日ずつを潰します
- 予備日を旅程の中に入れる — 欠航、体調不良、国境の閉鎖はいつか必ず起きます
- 事前申請が必要なビザだけ先に処理する — 取っていないと搭乗できない国があります(ビザの調べ方)
- 予算の10〜20%を予備費に — 使わなければ、その分だけ旅を延ばせます
ここに書いた行程は、期間ごとに何が入って何が入らないかを示すための骨格です。 実際の航空券の区間、季節、ビザの条件は、組む時期によって変わります。 そのまま予約できる商品ではないことをご了承ください。 手配にあたっては、必ず各航空会社と各国大使館の最新情報をご確認ください。