世界一周の費用はいくらか — 総額の内訳と計算のしかた
「世界一周はいくら?」に一つの数字で答えられないのは、 総額の大部分が航空券ではなく、現地での滞在費だからです。 ここでは総額を分解し、自分の条件で見積もれる形にします。
最終更新:2026年8月6日
費用は2種類に分けて考える
世界一周の費用は、性質のまったく違う2種類が混ざっています。 これを分けずに考えると、いつまでも総額が固まりません。
- 固定費 — 日数が延びても増えないもの(航空券、ビザ、装備、予防接種など)
- 変動費 — 日数に比例して増えるもの(宿、食事、現地の移動、通信、保険)
重要なのは、期間を延ばしたときに効いてくるのは変動費だけということです。 3か月を6か月に延ばしても航空券は同じですが、滞在費は倍になります。 逆に言えば、長い旅ほど「1日あたりいくらか」が総額を支配します。
固定費:出発前に確定する分
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 航空券 | 約36万円〜(世界一周航空券のエコノミー本体価格) | 税・燃油サーチャージは別途。詳しく |
| 税・燃油サーチャージ | 訪問国数に比例して積み上がる | 見積もりは必ず税込総額で取る |
| ビザ関連 | 数千円〜。無料の国も多い | 日本は188の国・地域がビザなし。詳しく |
| 装備(バックパック等) | 数万円〜 | 手持ちで足りる部分も多い。詳しく |
| パスポート | 10年旅券で1万数千円 | 残存期間が足りないと入国できない国がある |
変動費:1日あたり×日数
変動費は「1日あたりいくらで過ごすか」を決めてしまえば、あとは日数を掛けるだけです。 水準はおおまかに3段階で考えると見通しが良くなります。
| スタイル | 宿 | 食事 | 1日あたりの傾向 |
|---|---|---|---|
| 節約型 | ドミトリー、ゲストハウス | 屋台・自炊中心 | 物価の安い国では非常に低く抑えられる |
| 標準型 | 安宿の個室 | 現地の食堂中心、たまに外食 | 節約型の2倍前後になりやすい |
| 快適型 | ホテル | レストラン中心 | 先進国では跳ね上がる |
ここで金額を断定しないのは、同じスタイルでも国によって金額が数倍違うからです。 「1日5,000円」という数字は、東南アジアでは快適型、西欧では節約型ですら足りない、 ということが起こります。だから金額ではなく、次の項目のように国ごとの倍率で考えます。
行き先で総額が変わる仕組み
物価水準を比較する簡便な指標として、各国のビッグマック価格を比べる方法があります。 同じ商品なので、生活実感に近い倍率が見えます。
| 地域 | ビッグマック価格の目安 | 日本(約3ドル)との比 |
|---|---|---|
| 台湾・インド・インドネシア | 約2.5〜2.8ドル | やや安い |
| エジプト | 約2.65ドル | やや安い |
| 南アフリカ | 約3.36ドル | ほぼ同等 |
| イギリス | 約6ドル | 約2倍 |
| フランス | 約7.4ドル | 約2.5倍 |
| ニューヨーク | 平均7.08ドル | 約2.4倍 |
つまり同じ1か月でも、アジアで過ごすか西欧で過ごすかで滞在費は2倍以上変わります。 総額を抑えたい場合、日数を削るより物価の高い区間の滞在日数を削る方が効きます。 国別の詳しい数字は世界の物価にまとめました。
総額へのインパクトが大きい順に並べると、 ①高物価国の滞在日数 → ②旅の総日数 → ③1日あたりのスタイル → ④航空券のクラス です。航空券を必死で数万円削るより、西欧の滞在を1週間短くする方が効くことがよくあります。
見積もりの手順
順番に埋めていけば、根拠のある総額が出ます。
- 総日数を決める(期間と出発時期)
- ルートを決め、地域ごとの滞在日数に割る(ルートの決め方)
- 地域ごとに「1日あたりの水準」を当てはめて、変動費を足し上げる
- 航空券の見積もりを税・サーチャージ込みで取る(世界一周航空券)
- 固定費(ビザ、装備、保険)を足す
- 合計の10〜20%を予備費として上乗せする
最後の予備費は削らないでください。 航空便の欠航、体調不良による滞在延長、盗難、為替の変動は、 起こるかどうかではなく、いつ起こるかの問題だからです。
削ってはいけない費用
節約の対象にしてはいけないものが2つあります。
海外旅行保険
医療費が日本の常識と桁違いになる国があります。 治療費だけでなく、救援者費用(家族が現地に駆けつける費用)や 医療搬送費用が補償されるかを必ず確認してください。 クレジットカード付帯の保険は、補償額や適用条件(利用付帯かどうか、 補償される日数)に制限があることが多く、それだけで足りるとは限りません。
予備費と、緊急時の現金
カードが使えない、ATMが動かない、通信が切れるといった状況は現実に起こります。 分散して持つ少額の現金は、保険と同じ性質の支出です。