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世界一周の費用はいくらか — 総額の内訳と計算のしかた

「世界一周はいくら?」に一つの数字で答えられないのは、 総額の大部分が航空券ではなく、現地での滞在費だからです。 ここでは総額を分解し、自分の条件で見積もれる形にします。

最終更新:2026年9月2日

費用は2種類に分けて考える

世界一周の費用は、性質のまったく違う2種類が混ざっています。 これを分けずに考えると、いつまでも総額が固まりません。

  • 固定費 — 日数が延びても増えないもの(航空券、ビザ、装備、予防接種など)
  • 変動費 — 日数に比例して増えるもの(宿、食事、現地の移動、通信、保険)

重要なのは、期間を延ばしたときに効いてくるのは変動費だけということです。 3か月を6か月に延ばしても航空券は同じですが、滞在費は倍になります。 逆に言えば、長い旅ほど「1日あたりいくらか」が総額を支配します

固定費:出発前に確定する分

項目目安備考
航空券 約36万円〜(世界一周航空券のエコノミー本体価格) 税・燃油サーチャージは別途。詳しく
税・燃油サーチャージ 訪問国数に比例して積み上がる 見積もりは必ず税込総額で取る
ビザ関連 数千円〜。無料の国も多い 日本は188の国・地域がビザなし。詳しく
装備(バックパック等) 数万円〜 手持ちで足りる部分も多い。詳しく
パスポート 10年旅券で1万数千円 残存期間が足りないと入国できない国がある

変動費:1日あたり×日数

変動費は「1日あたりいくらで過ごすか」を決めてしまえば、あとは日数を掛けるだけです。 水準はおおまかに3段階で考えると見通しが良くなります。

スタイル安い帯
東南アジア・南アジアなど
中位の帯
中東・東欧・南米など
高い帯
西欧・北米
節約型
ドミトリー・屋台
2,200〜3,600円 3,300〜5,400円 5,500〜9,000円
標準型
安宿の個室・食堂
4,000〜6,500円 6,000〜9,800円 10,000〜16,000円
快適型
ホテル・レストラン
5,000〜9,000円 7,500〜13,500円 12,500〜22,500円

金額をレンジで示すのは、同じスタイルでも国と時期で動くからです。 それでも構造は読み取れます。 「1日5,000円」は安い帯では快適型の水準ですが、西欧では節約型ですら足りません。 帯の倍率は世界の物価のビッグマック比にもとづいています。

行き先で総額が変わる仕組み

物価水準を比較する簡便な指標として、各国のビッグマック価格を比べる方法があります。 同じ商品なので、生活実感に近い倍率が見えます。

地域ビッグマック価格の目安日本(約3ドル)との比
台湾・インド・インドネシア約2.5〜2.8ドルやや安い
エジプト約2.65ドルやや安い
南アフリカ約3.36ドルほぼ同等
イギリス約6ドル約2倍
フランス約7.4ドル約2.5倍
ニューヨーク平均7.08ドル約2.4倍

つまり同じ1か月でも、アジアで過ごすか西欧で過ごすかで滞在費は2倍以上変わります。 総額を抑えたい場合、日数を削るより物価の高い区間の滞在日数を削る方が効きます。 国別の詳しい数字は世界の物価に、宿そのものの選び方は宿の取り方にまとめました。

総額を動かす順番

総額へのインパクトが大きい順に並べると、 ①高物価国の滞在日数 → ②旅の総日数 → ③1日あたりのスタイル → ④航空券のクラス です。航空券を必死で数万円削るより、西欧の滞在を1週間短くする方が効くことがよくあります。

見積もりの手順

順番に埋めていけば、根拠のある総額が出ます。

  1. 総日数を決める期間と出発時期
  2. ルートを決め、地域ごとの滞在日数に割るルートの決め方
  3. 地域ごとに「1日あたりの水準」を当てはめて、変動費を足し上げる
  4. 航空券の見積もりを税・サーチャージ込みで取る(世界一周航空券
  5. 固定費(ビザ、装備、保険)を足す
  6. 合計の10〜20%を予備費として上乗せする
計算例:6か月・標準型・アジア中心の場合

安い帯90日+中位帯30日+西欧帯35日+北米帯25日(計180日)を上の単価表に当てはめると、 滞在費はおよそ113万〜184万円。 固定費50万〜75万円と保険6万〜12万円を足し、予備費15%を載せると—— 総額はおよそ190万〜310万円になります。 幅が大きく見えますが、これが誠実な答えです。旅はこの幅の中で操縦していきます。

費用シミュレーター — 自分の場合はいくらか

上の単価表と同じ係数で計算します。結果は目安の幅で、断定ではありません。「試算する」を押せばJavaScript無しでも動きます。

試算結果(180日間の目安)

194万〜311万円 うち滞在費 113万〜184万円

滞在費113〜184万
固定費50〜75万
保険6〜12万

効かせどころ: この条件では、西欧帯を1週間削ると約11万円下がります。 日数を削るより先に、高い帯の配分を見直すのが定石です(世界の物価)。

最後の予備費は削らないでください。 航空便の欠航、体調不良による滞在延長、盗難、為替の変動は、 起こるかどうかではなく、いつ起こるかの問題だからです。

削ってはいけない費用

節約の対象にしてはいけないものが2つあります。

海外旅行保険

医療費が日本の常識と桁違いになる国があります。 治療費だけでなく、救援者費用(家族が現地に駆けつける費用)や 医療搬送費用が補償されるかを必ず確認してください。 クレジットカード付帯の保険は、補償額や適用条件(利用付帯かどうか、 補償される日数)に制限があることが多く、それだけで足りるとは限りません。

予備費と、緊急時の現金

カードが使えない、ATMが動かない、通信が切れるといった状況は現実に起こります。 分散して持つ少額の現金は、保険と同じ性質の支出です。